「時間があるときに読もう」と思って積んだ本は、たいてい読まれません。 読書が続かない最大の原因は、本の難しさでもやる気の問題でもなく、 「いつ・どのくらい読むか」が決まっていないことです。 この記事では、読書に時間の区切りを入れる考え方と、20分区切りで積読を減らしていく具体的な方法を紹介します。
なぜ「読む時間」を決めると読めるのか
読書は始めるまでのハードルが高い行為です。本を開く、前回どこまで読んだか思い出す、集中を立ち上げる。 この立ち上がりに数分かかるため、「隙間時間に少しずつ」ではいつまでも本題に入れません。 逆に「今から20分は本を読む」と決めて終わりの時刻が見えていると、 立ち上がりのコストを払う気になり、20分なら他の予定を邪魔することもありません。
もうひとつの効果は、「読み終わらなければ」というプレッシャーから解放されることです。 ゴールを「本を読み切る」から「20分読む」に変えると、1ページしか進まなくても成功です。 小さな成功を積むほうが、読書は続きます。
読書の目的別・おすすめの時間設定
| 読書のタイプ | 1回の長さ | 1回で進む量の目安 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 小説・エッセイ(娯楽) | 20〜30分 | 20〜40ページ | 切りのよい章末で止めなくてよい |
| ビジネス書・実用書 | 20分 | 1〜2章 | 読後に3行メモを書く時間を別に取る |
| 専門書・教科書 | 25分+5分休憩 | 5〜10ページ | ポモドーロ形式で。休憩に要約を書く |
| 語学の多読 | 15分 | 短い記事1〜2本 | 辞書を引かず量をこなす |
| 寝る前の読書 | 15〜20分 | 気にしない | 終了合図は小さな音に。読み上げは切る |
「20分」を基準にしているのは、集中が自然に切れる前に終わる長さで、かつ本の内容が頭に残る最小単位だからです。 30分を超えると疲れが出て流し読みになり、10分では立ち上がりのコストのほうが大きくなります。 慣れてきたら25分や30分に伸ばして構いませんが、最初は短めで成功体験を作るのが優先です。
20分読書の具体的な回し方
1. 読む場所と本を固定する
「今日は何を読もう」と考える時間が、読書を遠ざけます。 今読んでいる本は1冊(せいぜい2冊)に絞り、読む場所に置いておきます。 通勤なら鞄に、家ならいつも座る場所の横に。手を伸ばせば本がある状態にしてください。
2. タイマーを20分にセットして開く
カウントダウンタイマーに20分をセットし、読み上げは「終了時のみ」か「残り1分」だけにします。 読書中に「残り10分」などと聞こえると集中が切れるので、途中経過の読み上げは切っておくのがおすすめです。 スマホは伏せて、画面を見なくて済む状態にしておきます。
3. 終了の合図が鳴ったら、区切りが悪くても止める
ここが意外と大切です。「この章まで」と延長するのは一見よいことに思えますが、 延長が習慣になると「20分」の約束が緩み、始めるハードルがまた上がります。 区切りが悪いところで止めるほうが、次に開いたときに続きが気になって始めやすくなります。
4. 1行だけ記録する
読んだページ数か、印象に残った一文を1行だけメモします。 記録は「読んだ」という事実を可視化するためのもので、内容の要約は不要です。 1週間分の記録が並ぶと、それだけで続ける動機になります。
1日のどこに入れるか
- 朝の出勤前 ― 頭が一番冴えている。専門書・実用書向き
- 通勤・移動中 ― 電車なら20分はちょうどよい。小説向き
- 昼休みの後半 ― 食後の眠気を読書で切り替える。軽めの本を
- 寝る前 ― スマホの代わりに本を持つ。画面を見ないので寝つきがよくなる
まずは1日1回、20分だけで十分です。1日20分なら1週間で140分、1か月で約10時間。 一般的なビジネス書なら月に3〜4冊読み終わる計算になります。 「まとまった時間ができたら」と待っているより、はるかに読めます。
積読を減らす順番の決め方
積んである本が多いと、どれから手をつけるか迷って結局どれも開きません。 次の順で1冊選んでください。
- 今の仕事や生活にすぐ関係する本 ― 読んだ翌日から使える。動機が強い
- 薄い本・読みやすい本 ― 1冊読み切る成功体験を先に作る
- 買った理由を思い出せる本 ― 理由を思い出せない本は、いま読まなくてよい
そして、20分×3回読んで面白くなければ途中でやめて構いません。 「買ったのだから最後まで」と義務にすると、読書そのものが嫌になります。 合わない本を手放すことも、積読を減らす立派な方法です。
1か月の記録例 ― 20分でどのくらい読めるか
「1日20分で本当に本が減るのか」と疑問に思う人のために、平日のみ20分読んだ場合の1か月の記録例を示します。 読む速さには個人差があるので、あくまで目安です。
| 週 | 読んだ日数 | 合計時間 | 進んだページ | 読了した本 |
|---|---|---|---|---|
| 1週目 | 4日 | 80分 | 約100ページ | ―(1冊目の半分) |
| 2週目 | 5日 | 100分 | 約130ページ | 1冊目(新書220ページ) |
| 3週目 | 5日 | 100分 | 約120ページ | ―(2冊目の半分) |
| 4週目 | 4日 | 80分 | 約100ページ | 2冊目(実用書230ページ) |
1か月で合計6時間、新書・実用書なら2冊。「たった2冊」と感じるかもしれませんが、 これまで年に数冊しか読めなかった人にとっては年間24冊のペースです。 しかも毎回20分なので、負担感がほとんどありません。 週に1〜2日読めない日があっても、記録上は問題なく進んでいるのが分かります。 「できなかった日」を数えるのではなく「読んだ日」を数えるのが、続ける記録のつけ方です。
集中が続かないときの調整
20分でも途中で気が散る場合は、まず環境を疑ってください。スマホの通知、周囲の音、明るさ。 それでも難しければ15分に短縮し、慣れたら戻します。 専門書のように内容が重い本は、ポモドーロタイマーで25分読んで5分休憩、 休憩中に読んだ内容を数行にまとめる、という形にすると理解が深まります。 集中の区切り方そのものは勉強の時間の区切り方で詳しく扱っています。
よくある質問
電子書籍でもやり方は同じ?
同じです。ただし電子書籍はスマホで読むと通知に邪魔されやすいので、 通知を切るか、専用端末を使うのがおすすめです。タイマーは別の端末で鳴らすと画面を切り替えずに済みます。
速読を身につけたほうがよい?
読書が続かない段階で速読を目指す必要はありません。まず「毎日20分開く」習慣ができれば、 量は自然に増えます。速さは読んだ量の後についてきます。
子どもの読書時間にも使える?
使えます。「20分読んだら終わり」と終わりが見えるほうが、子どもは取りかかりやすくなります。 終了の合図は優しい音にして、「まだ読みたい」と言うなら延長を許すのは子どもの場合は逆に良い結果になります。
読書は「時間ができたらやること」ではなく「時間を決めてやること」です。 20分のタイマーをセットして本を開く。それだけで、積読は確実に減っていきます。